星野金属が不渡り
もう 3 日以上前の話ですけど、ソルダムのサイトを見て驚いたのですが、なんと星野金属が不渡りを出したそうですね。
星野金属といえば PC ケース WiNDy。そして大昔は、NEC PC-9800 シリーズのケース製造元として、知る人ぞ知るメーカーでした。ちなみに誤解している方が多いのですが、WiNDy はソルダムが企画・販売しているブランドであり、星野金属はあくまでその製造元にすぎません。星野金属工業の代表取締役の星野清氏は、ソルダムの代表取締役で CEO の星野泉氏の父ですが、両者には資本的関係もありません。
とはいえ、星野金属は WiNDy の生産を一手に引き受けていたわけで、その影響はソルダムにとっても甚大です。何しろ不渡りの発表から、このエントリを書いている現時点まで全商品の販売が停止してしまっているのです。工場が稼働しないのですから、当然そうなってしまうでしょう。
現在ソルダムは既存の受注分の生産に関し、他メーカーと交渉中との告知を出しています。前述の通りソルダムと星野金属は全くの別会社であり、連鎖倒産の心配もないとのこと。しかし多くの方が、WiNDy はソルダムのデザインはもちろん、星野金属の製造クオリティが存在して初めて成立するブランドだと思っているはずです。なぜそんな話をするかといえば、実は私も WiNDy ユーザーであり、その製品加工精度のすばらしさに惚れ込み、今なお愛用しているからです。
いきなり昔話になってしまい申し訳ないのですが、私が最初に購入した WiNDy ケースは、ソルダムが WiNDy 販売累計 80,000 台を記念して発売した MT-PRO 700 Betty N でした。それまで私は同社の MT-PRO 1000 にあこがれていたのですが、万年金欠学生だった私に、当時そのような高級品を買う余裕はありませんでした。そんな中で突如販売された Betty N…もう、飛びつきましたね、ちょうど MicroATX のマシンを検討していたので。
その後私は、同様に記念モデルとして発売された MT-PRO 1100NB を購入、さらに因縁の MT-PRO 1000 も、そのリファイン モデルとして登場した MT-PRO 1001 として入手し今に至るのですが、思えばこの N シリーズに始まるセール販売がすべての誤りの始まりだったのかもしれません。ソルダム直販サイトでは毎日何らかの特売を行うようになり、同じ商品を高い値段で買ったユーザーは激怒。そしてブランド知名度の広がりに伴い、製品自体に関してもうたい文句ほど冷却性能がないと叩かれたり、賛否両論のデザインにアンチと擁護派で激しい言葉のやりとりが繰り返されたりと、必ずしも好意的とは言えない評価も目立つようになりました。
私としても、同社の販売手法にはしばしば疑問を感じ、また反感を抱くこともありました。しかし製品に関して、少なくとも自分が購入したケースの品質には満足していました。エッジにさわっても指が切れない。はずしたカバーがピタッと入り、ピシッと留まる。当たり前のことですが、粗製濫造のケースがあふれる中、製造元の星野金属はその当たり前のことが可能な数少ないメーカーと言えました。それが、このようなことになってしまうとは…。
11 日に出たのは最初の不渡りで、まだ星野金属は倒産したわけではありません。しかし不渡りの発生は企業として大きな信用の失墜を意味しますし、様々な blog を見ると、もう今後については絶望的なのではないかという見方が多勢です。
この先、もし万が一にも WiNDy が国外メーカーで生産されるようなことになれば、ブランドとしての信頼は大きく揺らぐことになるでしょう。そして私は思うことでしょう…ああ、また一つ市場から個性が失われ、一つの時代が終わり、自作 PC が退屈になったと。
テクノロジーは進歩しても店頭に出てくる製品は、どこを切っても同じ金太郎飴のように画一化が進むばかり。そんな多様性を認めない自作 PC 市場に未来があると思っているのか、買収・合併を繰り返しシェアを寡占する大手メーカ各社にも問うてみたいものです。
- Posted at 07:52:11 in Computer
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